映画「かがみの孤城」を観てきた(ネタバレ)

映画「かがみの孤城」を観てきました。朝の情報番組「スッキリ!」の中の占い(スッキりす占い)のコーナーでこの映画とのコラボレーションをやっていて気になっていたところに、観に行ったマイミクさんが押してくれたので、行く気になりました。原作は小説だそうですが、読んでいません。

 

孤城にかがみを通して、家庭などに問題がある中学生たちが集まってくるわけですが、学校における保健室みたいな、駆け込み寺的なものだと思いました。逃げ込める場所があって、同じような境遇の人たちと話をするだけでどれだけ心が安らぐか。ボクも学校にいたときは保健室にいることが多かったので、孤城みたいな環境があったらよかったのにな、と思ってしまいました。

フリースクールのカウンセラーの喜多嶋先生という存在が出てきますが、いろいろな悩みを聞いて寄り添ってくれる人がいるだけで、どれだけその人の心が救われるか、と思いました。ボクも心療内科に通っていますが、カウンセリングして薬を処方してもらうことで助かっている部分があります。

孤城に集められた中学生の時代が違っているのではないかというのは、マサムネが持ってきた携帯ゲームのことをスバルが知らなかったり、マサムネが言っていたゲームのことをウレシノが映画化されていると言ってマサムネが否定すること、こころとマサムネとフウカとウレシノは喜多嶋先生のことを知っているのに他のメンバーが知らないこと、みんなで保健室で会おうとしたけど会えなかったこと、など、伏線があったのですが、途中にマサムネが説明したパラレルワールド説が出てきたので、パラレルワールドなのかな、とも思ってしまいました。結局、時間に7年ずつ差があったわけですが。

こころが同級生からいじめを受けるシーン、特に家にまで押しかけられるシーンは怖かったです。担任の先生もいじめに対して無理解で、母親がこころの話を理解して味方になっていなかったら、こころの居場所がなかったのではないかと思います。

アキが父親らしい男性から性暴力を受けるシーンで、男性の顔が線でぐちゃぐちゃになっていましたが、それだけアキにとっては顔も思い出したくないくらい辛いシーンだったのだと思って辛かったです。また、アキが孤城のルールを破ってしまいますが、ルールを破ってまで家に帰りたくなかったのだと考えると、アキはどれだけ過酷な環境を耐えてきたのだろうと考えてしまいました。

アキがルールをやぶってみんなの鏡が割れるシーンで、こころは萌の家から帰る途中だったので助かりますが、その時に家からパリーンと音がした時、誰かが意図的に鏡を割ったのか心配しました。母親が見つけて気味悪がって割ったか、とか、同級生が家に侵入して鏡を見つけて割ったのではないか、と、ちょっと心配でした。

オオカミさまがリオンに対して最後に「善処する」と言ったことは、リオンだけ記憶が残っているということなのでしょうか?パンフレットの原監督のインタビュー(25ページ)で、「こころ自身も実生活に戻ってお城のことを忘れますが、」とあるので、こころなど他のメンバーはルールに従ってお城のことは忘れてしまったのだと思われます。だけど、リオンがこころと同じ中学に転校してきたときには、気軽に声をかけています。

途中、マサムネが「真実はいつもひとつ!」というシーンがあるのですが、その時点でマサムネの声優が高山みなみさんだと気づきました(笑)。

アキは大人になってこころたちに影響を与えますが、スバルも大人になって「ゲートワールド」というゲームを作ってマサムネやウレシノに影響を与えてると思うと胸熱でした。

 

原恵一監督の映画を観るのは「かっぱのクゥと夏休み」以来でしたが、前回と同じくかなり心に刺さりました。

ビジュアルコンセプトのイリヤ・グブシノブさんのインタビュー(パンフレット32ページ)に、「城の中にはあちこちにクローバーのような紋章」と書かれていて、パンフレットに書かれているアートボードを見ると確かにクローバーだらけだった。映画鑑賞中には気が付かなかった。

パンフレットを読んで気になったのは、原監督のインタビュー(パンフレット23ページ)、他のスタッフに対してはさんづけしているのですが、脚本の丸尾みほさんだけさんづけされていないので、ミスか、さんをつけないくらい親しい間柄なのか、ちょっと気になりました。あと、同じく原監督のインタビュー(パンフレット22ページ)で、「最近テレビを観ていて、転職サイトのCMがなんでこんなに多いのだろうかと思うようになって。きっと今いる職場に不満があったり、人間関係に苦しさを感じている人が多いのだろうと。」という部分に、そういえば最近テレビでCMを何気なく観ているけど、言われてみると転職サイトのCMが多いなと気づかせてもらいました。転職は生きづらさの現れという表現に、この映画に出てきたこころたちみたいに、大人でも社会的に不安を抱えている人が多いのかなと思いました。

 

この映画を観た後、ボクの心にも変化がありました。仕事場で不満があった時に自分の中にためこんでいたのですが、職場の心許せる人に愚痴を少しだけ吐けるようになりました。

 

追記:小説版を読んだほうがいいのかなとも思っているのですが、今のところ小説版を読む心の余裕がないです。長い小説が読めない状態で…。