獣の奏者エリン

第8話 蜂飼いのジョウン

闘蛇らしいギラギラした目の生き物に襲われそうになったところをソヨンに助けられる夢を見るエリン。
霧の民の村らしいところに戻ったナソン。モンゴルにあるゲルみたいな家が並んでいる。
霧の民の女長老にソヨンのことを聞かれ、処刑されたことを伝えるナソン。
ソヨンが黄泉路で迷わないよう祖先に願おうという長老。
その場にいた老人から聞かれて詳細を話すナソン。「操者ノ技」を用いて娘を助けた。
「操者ノ技」は絶対に知られてはならぬ掟らしい。
老人B「なに?!「操者ノ技」?!」
長老「いかん。「操者ノ技」は絶対に知られてはならぬ掟。」
老人A「もし、我らの技が知られることがあったときは…。」
ナソン「それですが、監察官は小心者で、自らの経歴に傷がつくことを恐れ、そのことは口外するなと厳命しておりました。」
老女「では、「操者ノ技」を使ったという噂は…。」
ナソン「はい。広まることはないでしょう。」
長老「ナソンよ。我らが祖先たちから受け継いだ掟は、どんなことがあっても守らなくてはならぬ。もう二度と世に災いをもたらしてはならぬのだ。ソヨンの娘の行方を追うのじゃ。噂の火種は摘み取っておかねばならん。」
ナソン「はい。霧は霧に帰るのが定めです。」<エリン、ピンチ?
蜂の巣箱からアカシアの蜜を取っているジョウン。
湖の巣箱を取りに行く前におならをするジョウン。蜂が逃げて、ジョウン「お〜。こりゃ失礼。」
ジョウン、川の木陰に何かが浮かんでいるのを発見。においが闘蛇。
丸太に捕まって気絶しているエリンだった。
ジョウンが熊に見えたエリン。
ジョウンに家に運ばれるエリン。
ソヨンのことを何度も思い出すエリン。
蜂を捕まえて針を抜くジョウン。「すまんな。」

ミツバチは、針を抜かれると死ぬ。小さな虫ですが、ジョウンにとって一匹一匹がかけがえのない大切な宝物でした。しかし、エリンの傷を治すために、蜂の針を抜いたのです。そして、エリンが蜂にさされたことがないことを確かめると、蜂の毒を慎重に使いました。

目覚めるエリン。
窓から見える木にサナギが。
エリンの脇でうとうとしているジョウンが。
棚にもたれかかってしまい棚にあった皿などが落ちるジョウン。
またおならした。
ジョウン「いいか?おならというのは、出ないより出たほうがいいんだぞ。体の中にたまった悪い空気を外に出すんだ。おならをしないと、腹の中にたまっていって、そのうち体が浮いてきちまって、最後には…、ボンだ。」エリン「ホントに?」ジョウン「アッハハハ。冗談だ冗談。浮く前に出ちまうよ。まあ、笑われちゃ敵わんから、少しは我慢するか。」
おなかがなったエリン。
ジョウン「腹が鳴るってことは、体が元気になろうとしてる証拠だ。さあ、食べなさい。お前は運の強い子だ。よみの川原から引き返してきたんだからな。」<そうとう危なかったようだ。
ソヨンのことを思い出してベットから出ようとするエリン。
ソヨンの腕輪がないことに気づくエリン。寝てる間は邪魔だと思い、ジョウンが大切に持っていた。
ジョウンから腕輪を取り、泣くエリン。
ジョウン「思う存分泣きな。涙は悲しみの汁だ。涙がどんどん流れ出れば、悲しみもそれだけ減っていく。お前をそんなに悲しませていることも、やがて忘れられるようになる。」
あれ、エリンの等身ってこんなに低かったっけ?
エリン「涙が全部流れて悲しいのがなくなったら、お母さん忘れちゃう。お母さん忘れるの…いや。」
涙を流さないように悲しみをこらえるエリン。
腕輪を手にしながら、また母親の最期を思い出すエリン。
ソヨンからサナギについて聞いていたことを思い出すエリン。
ソヨン「エリン。さなぎの中の蝶はとても弱いものなのよ。」「芋虫がさなぎになった後、自分の体をドロドロに溶かしてしまってから、蝶の姿へと変わっていくの。」「そうやって大人の蝶になっていくの。人も同じよ。自分自身が変わろうと決めたとき、心を少しずつ溶かしていって、新しい世界に混じっていくことで、その世界で生きることができるようになるわ。」
ソヨン、アケ村に来たばかりのころはなかなかなじめなかった。
窓の外のサナギを狙う鳥が。
「だめ〜。」と叫んで鳥を追い払うエリン。
何だとジョウンがエリンのところへ。
ジョウン「蝶は好きか?」エリン「お母さんが教えてくれたの。さなぎから大人になった蝶は、新しい世界を見るために羽ばたくんだって。」ジョウン「お前、お母さんを忘れるのがいやだ、って言ってたな。忘れなくたっていいさ。いやなこともいいことも、全部ひっくるめて、今があるんだ。」
サナギが蝶になった。
アフォン・ノア(神々の山脈)を見に来たジョウンとエリン。世界が始まったときからあった山らしい。
エリン「アフォン・アルマもあそこに?」ジョウン「アフォン・アルマはこの世のどこにもないんだ。だからあの世っていうんだがな。不思議なことに、穢れた者は行くことも叶わぬとも言われている。」エリン「そうじゃない人は?」ジョウン「死んで土にかえる…。それだけだ。ただ、そいつが生きていた思い出だけは、いつまでも俺たちの中に残るんだ。お前の母親もな。」
ソヨンのために石を積み重ねるナソン。
ジョウン「お前がなんでここに来たのか、お前に何があったのか、お前が話したくなった時それを聞くとしよう。まずは生きるために飯を食え。さなぎを食おうとしてた鳥も、生き延びた蝶も、生きるために食う。食うために生きる。そして、ゆっくり焦らず、お前が思い出を糧にして、生きるってことの意味を見つければいい。」
ファコというパンみたいな食べ物。小麦の粉を練って作っている。ハチミツをかけて食べる。ジョウンのいる場所では一般的な食べ物。
ファコがおいしそう。ファコをスープにつけて出す→蜂蜜をつける。
ジョウンがおならを。ようやくエリンが笑った。

見知らぬ土地、見知らぬ食べ物、そしてジョウン。全てがエリンの知らないことばかりでした。その中で、エリンは母の言葉を思い出していました。「生き延びて、幸せにおなりなさい。」何が幸せなのか、どう生きるべきか、まだ解りませんでした。ただ、エリンは、まず生きてみようと思うのでした。


あれ…?今回、ジョウン、自分のことがジョウンという名前だって言ってないよね???来週???