こんにちは アン 〜Before Green Gables

#38『花咲ける朝に』

エドナは、アンの前でお母さんに抱きしめられました。

エドナと手を離して、勝手に外に行ったことをちゃんとカーライル院長に言うアン。
反省の部屋行きをアンに告げるカーライル院長。まずは早く戻って風邪をひかないように濡れた身体を拭くように言うカーライル院長。
アンが反省の部屋に入れられたことが寝室での女子達のうわさに。
テッサ、部屋の女子達を寝せるために来たミス・ケールと階段の踊り場で話をする。
テッサ、アンがプリンス・エドワード島行きを断ったのが本当かどうか聞き、どうしてかをミス・ケールに聞くやりとりで、アンが、テッサとデラを置いていったらかわいそうだから断ったのではないかと気づく。
反省の部屋でくしゃみをするアン。
反省の部屋の外で扉を叩くテッサ。
テッサ、アンにプリンス・エドワード島行きを断ったのを取り消すように言うが、頑なに断るアン。
テッサの言葉に心動かされるアン。
アン、自分がたくさん規則をやぶったからもう無理だと言い、テッサにありがとうの言葉をかける。
カーライル院長とお茶を飲んでいるエドナとエドナの母親。
エドナ、カーライル院長に真実を話した。
カーライル院長、エドナが取った行動には後日罰を与えなければならないことと、人形を院長が預かることをエドナに言う。ただし、今夜だけはエドナが人形を持っていても良い。
エドナの母親に今夜は遅いので孤児院に泊まる様に言うカーライル院長。
院長室の扉を叩く音が。カーライル院長が誰かと聞いても答えない。
カーライル院長が扉を開けるとテッサが。
月の光が明るい夜。
毛布に包まって寒がるアン。
エイミー・トンプソンの幽霊のことを思い出すアン。
ゆっくりと扉を開けるカーライル院長。咳払いしてアンがまだ起きていることを指摘するカーライル院長。
アン、院長の持っている杖を見る。
カーライル院長「私がこの杖であなたを打ちに来たと思ったのですか?」アン「あ…。せ、先生は、私がエドナと手を離したら杖で打つとおっしゃいました。」院長「私は言ったはずです。二人がお互いを許すまで手を離してはならないと。エドナは先ほど、真実をありのまま話し、あなたを騙したことを心から恥じていました。」アン「あ…。」院長「あなたはどうです?もうエドナへの怒りは解けたのではありませんか?」アン「…はい。」院長「ならば、あなたとエドナは互いに許しあっている。打つ必要がどこにあるのです?」
アン「エドナは、本当のことを話したんですね。」院長「ええ。お母様に会って、心の安らぎを取り戻した様子でした。お母様は、これからも、療養所で治療を続けるそうです。エドナの顔を見て、どんなことをしても、病気を治す決心ができたとおっしゃっていました。エドナも、お母様が退院して、二人で暮らせる日を、この孤児院で心待ちにするそうです。エドナはあなたに感謝していましたよ。」アン「え…?」院長「あなたのおかげで、大切な人形と指輪を無くさずに済んだと。」
エドナと一緒のベッドで寝ながら、エドナの髪をなでるエドナの母親。
院長「アン・シャーリー。あなたはここへ来てわずかな間に、二度も脱走し、ケンカ騒動を起こし、常に騒ぎの中心にいました。院長になって二十年、あなたのような子供は初めてです。アン、あなたはここへ来た日、自分の名前すら言おうとしなかった。無理やり連れてこられ、自分は誰にも必要とされていない、誰にも愛されていない、その恐ろしさから必至で自分を守ろうとしていたのではありませんか?エイミー・トンプソンも同じでした…。」アン「え…?」
持っていた本から写真を取り出す院長。
院長「エイミー・トンプソンは13歳でこの孤児院に連れて来られました。家族にも親戚にも見捨てられ、誰も引き取り手の無い少女でした。自分は誰にも必要とされていない、その恐れで心を閉ざし、周りの全てを、自分が生まれてきたことすら憎んでいました。ある晩、エイミーは禁じられたロウソクを持ち出し、一人小屋に閉じこもったのです。我に返り、怖くなって逃げようとした時は手遅れでした。エイミーは死を覚悟しました。ところが、炎の中に飛び込んできた人がいたのです。前の院長、カーライル先生でした。先生は命を懸けてエイミーを助けました。その代わりに、足の自由を失い、この杖無しでは歩けなくなったのです。エイミーは自分が許せなかった。この反省の部屋に閉じこもり、後悔の気持ちを忘れないために、壁に刻んだのです。」アン「『今夜、月の輝きが私を鞭打つ。張り裂ける悲しみを、永遠にここに刻む。エイミー・トンプソン』」院長「あの夜の痛みは、今も私の胸にしまわれています。」アン「はっ…。それじゃ…。」院長「エイミー・トンプソンというのは、私です。」アン「ああっ…。」<ビックリする展開@@;
エイミー・トンプソンと先代のカーライル院長との回想。
カーライル「エイミー。そんなに自分を責めないで。私の足はこうなってしまったけれど、その代わり、あなたはかけがえの無い大切な女の子なんだってことが解ったでしょ?その方がずっと大切なことだわ。人はみんな、誰かに必要とされながら生きていくのよ。」エイミー「(泣きじゃくりながら)そうでしょうか?私は…人に必要とされる人には、なれそうもありません。」
カーライル「特別な人だけが人に愛され、必要とされる訳ではないの。花や鳥が太陽と水を求めるように、人は愛を求め合うようにできているんですもの。あなたはただ真面目な抱負を持ち、今日という日を心をこめて生きなさい。まごころをいつも忘れずにね。そんなごく普通の毎日の中に、きっと人を愛する喜び、愛される喜びが宿っていますよ。」
カーライル院長「その時、恐れに心を閉ざしていたエイミー・トンプソンは死にました。私はカーライル先生に、本当の命を授かったのです。」
カーライル院長、アンに一緒に来るように言う。
エイミー・トンプソンはその後、大学に行き、勉強し、孤児院に戻り、カーライル先生の養女に迎えていただいた。そして、先生が惜しまれて亡くなった後、院長になった。
カーライル院長「私は先生のような温和な人格者には程遠く、子供が苦手なのです。だから、何か迷った時、大事な決断をする時、この道をたどり、先生の眠る場所へ行って、先生ならどうするかと考えるのです。あなたがここへ来た夜もそうでした。火事に平静を失って、あなたにほんのわずかでも疑いをかけてしまった。誤った判断をしたかもしれないと、先生に相談に行かずにはいられませんでした。」アン「それじゃあ、あれは院長先生だったんですね。」
マーガレット・カーライルの墓に花を手向けるカーライル院長。
カーライル院長「いくつになっても、反省とやり直しの繰り返しです。先生はよく、口癖のように言っていました。『人は愛されて生きて行くんだ』と。」アン「院長先生はカーライル先生に愛されて生きてきたんですね。デラは、テッサに愛されて行くんだわ。」カーライル院長「そして、テッサもデラに愛されて生きていくでしょう。」アン「エドナはお母さんに。私も…きっと…。」
アン「その人は今、どこにいるんでしょう?」
カーライル院長「アン。私はあなたがいつもひたむきだったことを知っています。あなたは一度も嘘をつかなかった。起きた出来事に、どんな時も誠実でした。規則は度々破りましたが、きちんと罰を受け、反省もしました。ここへ来る前も、あなたは、きっと人を裏切らず、今と言う時を、心を込めて生きてきたのでしょう。カーライル先生ならこうおっしゃるはずです。あなたは今、そのまごころにふさわしい贈り物を受け取る時です。アン・シャーリー、プリンス・エドワード島へ行きなさい。テッサとデラのことは私達に任せなさい。テッサもそれを望んでいます。プリンス・エドワード島には、きっと、あなたを愛する人が待っています。」アン「…はい。」
アン「ああ、なんて美しい朝なのかしら。ああ、全てが希望にあふれているわ。光り輝く希望に。」
プリンス・エドワード島の妄想をしすぎるアン。その場に倒れこむアン。
アン、熱があった。
カーライル院長「最後まで人騒がせな。だから子供は苦手なのです。」
アンを抱えるカーライル院長。

憧れ、望んだ場所へ、とうとう行くことができるのです。
長い間、胸に積もった思いを解き放ったアンは、ただ心を空っぽにして、眠り続けるのでした。

学校にムスカマクドゥガル先生を訪ねる人が。
アン・シャーリーのことで郵便局まで来て欲しいとのことだった。
ケンドリック・ハモンドの家にアン・シャーリー宛の郵便物が届いていた。アン・シャーリーがどこにいるのかわからないので困っていた。
ジョアンナからの小包と、ロンドンにいるエリーザからの手紙だった。
郵便局にいた女性が、アンのことを知っていた。さっき、アンを探しているという人に会ったと言う。どうしても会いたいのでまだ探すと言っていた。ジョンソンさん(エッグマン)夫妻だった。
アンがホープタウンの孤児院にいることを知っているのはマクドゥガル先生だけだった。
マクドゥガル先生、エッグマン夫妻のことについてはアンから聞いていた。
エッグマン夫妻の馬車を呼び止めるマクドゥガル先生。

それは、アンにとって忘れられない二人でした。
アンにもう一度会いたいと願い、探し続けた二人は今、アンのいる場所をついに探し当てようとしていました。

アンの夢の中のアンの父「アン。人生には、たくさんの曲がり角がある。たとえ困難な長い道のりでも、次の曲がり角を曲がったら、全く別の人生が開けているんだ。新しい世界が。」
アンが目を覚ますと、目の前にエッグマン夫妻が。ビックリするアン。
アン「私、あんまり熱を出したから、幻を見ているの?」エッグマン「幻ではない。私達はここにいる。」ヘンダーソン先生「ああ、アン。どんなに会いたかったか。ああ、とうとうあなたに会えた。アン…。」
ヘンダーソン先生「アン、あなたに預かってきたものがあるのよ。素晴らしい幸せを運んでくれる手紙を。」アン「あ、ああ、私、私どうしたら。何から、あ、プリンス・エドワード島へ行けることになったの。世界一美しい島へ、とうとう行けることになったの。それから、それから、えーと…。」エッグマン「何もかも話すといい。ゆっくりと。時は満ち、今幸せは君のものなのだから。」

プリンス・エドワード島に旅立つ日は、もう、そこまで来ていました。