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獣の奏者エリン

第49話 決戦

太古の昔より、アフォン・ノアを越えてやって来た王祖ジェが作り出したリョザ神王国は、真王の手で治められていました。
大公は、その真王と国の清らかさを保つため、あえて我が身を汚しても、闘蛇を率いて、隣国の脅威と戦ってきたのでした。
しかし、国を守る戦に疲れた大公領民と、戦を嫌う真王領民。
それぞれの思いが、この国を飲み込む、大きな流れを生み出していたのです。

陣を整える指示を出すシュナン。
エリン、自分の持っている短刀の刃を眺める。
花を踏み潰して歩く闘蛇。
闘蛇に夜通し油を塗りこんでいたチョク。いざと言うときに闘蛇が動けなくなっては一大事。
タイラン、チョクには世話になった。よその村の闘蛇だというのに、タイランの闘蛇をよく世話してくれた。
タイラン「できることなら闘蛇を進めることなく終わりたいものだ。」「国境を越えれば、隣国が国攻めの機会を狙っているというのに、同じ国の民同士が争って何の意味があろう。私はこのリョザを守るために闘蛇乗りとなったのだ。」
そろそろ闘蛇衆は下がったほうがよいというタイラン。
急に暴れだしたリラン。
ヌックとモックは串焼き食べてる。
リラン、ここに来てから一度も食事をしていない。
エリンのところにダミヤが来た。
吹雪いても飛んでもらうというダミヤ。時が来たら天幕を落とすからリランに乗って飛ぶように言うダミヤ。
♪ワージャクー ワージャクー
ナソン「ソヨンよ。どうかエリンを見守ってやってくれ。」
雲が晴れていく。
シュナン、闘蛇を進めるよう命令。
エリン(何があっても私は、人間の戦のために王獣を使ったりしない。何があっても…。)
ダミヤ、大公はセィミヤの家臣だから、大公の軍がセィミヤの軍だという。
セィミヤ(私はおばあ様のようにこの国を治めていきます。いつまでも美しくあるように。私が、あなた達を私の軍として受け入れた時、戦を嫌う心は、この世から消えてしまうのかしら。いいえ、そうならぬ道をさがせばいい。戦をせずに国を生かす道を、2人で。)
セィミヤ、ナミに青い旗を持ってくるように言う。
セィミヤ「おじ様。おばあ様を殺すような心で、この国を治めることを考えるあなたとは、結ばれはしない。」
ダミヤ「はあ〜。そなたにあげた細工物を覚えているかい?みごとだったろう。あの箱庭は。セィミヤ。大切なのは、精巧で揺ぎ無い型を作ることなのだよ。良い型を作ることができれば、人はその中で心地よく生きていくものだ。」
セィミヤ「いかに精巧で美しくとも、私は動かぬ箱の中で生きたくは無い。私とシュナンの間に生まれる子は、この国と聖なるものと穢れたるものとを背負って生まれてくる。私の子は神ではなく人となるけれど、その子は、その手に自由と意思とを持って、自分の足で行く道を決めることでしょう。」
ダミヤ、ナミが持ってきた旗を揚げさせないと旗に手を置く。
セィミヤがセ・ザンにダミヤから旗を取り上げるよう命令しても誰も命令を聞かない。
ダミヤ「王を脅威から守るべきセ・ザンは、国の裏側がどうなっているのか、一番良く知っている。そして、誰に着いて行くのが得策であるのかもね。彼らは、国を正しい姿に導こうとする私の兵でもあるのだ。」
エリンにリランに乗って出るように命令するダミヤ。
エリン、小刀を取り出して自分の首にあてる。
決してダミヤには従わないと言うエリン。
ヌックとモックが人質に取られた。
意外と近くにいたイアル。
ダミヤを羽交い絞めにして剣を突きつけるイアル。
イアル、旗を拾ってセィミヤに渡すように言うエリン。
エリンに旗を掲げるように命令するセィミヤ。
旗を掲げたのを見届けた大公とシュナン。
歓声を上げる大公軍。
セィミヤの元に駆け寄ろうとするシュナン。
なぜか笑うダミヤ。
イアル「なぜ笑う?」ダミヤ「闘蛇は真王のためにあるもの。そして大公は我らを守るための軍。そうでなくてはならないのだよ。」
地響きが。
大公軍の横から別の闘蛇の軍勢が。
吹き飛ばされる大公。
ヌガンが闘蛇軍を指揮していた。
セィミヤの中に王祖ジェの姿を見たと言うダミヤ。
ダミヤ「これが人間というものだ。我々に連なる者の手のひらで動くのが定め。清らかな真王こそがこの国の要。大公領民ごときに、この国を救うことなどできないよ!」
すでに死んでいる大公。
シュナン「ヌガン!お前は、この国を包み込む歪みが分からないのか!」ヌガン「歪みは私が正す。闘蛇と共に私が真王陛下をお守りするのだ!」
シュナンのほうに兵を進めるヌガン。
セィミヤ「シュナンを…!誰か、シュナンを助けて!」
シュナンの姿と母親ソヨンの姿を重ねるエリン。
涙を流すセィミヤ。
エリン「私が参ります!大切な命、私が救えるなら。」
リランに乗って飛び立つエリン。
エリン(リラン。私は結局、あなたを武器として使う、おろかな人間だわ。でも…。)
エリン「リラン!あの人の所へ!」