獣の奏者エリン

視聴六日遅れ。

第45話 かごの鳥

キリクの回想。ダミヤ「ワジャク商人である育ての親に毒を盛って殺めたそうだな?」キリク「あいつらは、真王領の貴族の特権が欲しいがために、僕らを身内だと言ってだまし、そればかりか、清らかに生きてきた妹の命まで奪ったのです。欲深いワジャクなどいなくなればいいのです。」ダミヤ「『毒をもって毒を制す』か。」キリク「この世界は、清らかに生きる者のためにあるべきではありませんか?」ダミヤ「君の言うとおりだ。世界をあるべき姿に戻すため、私と一緒に来るかい?」
ダミヤ「我らには、神にも等しい聖なる力があるということを、大公にも他のワジャクにも解らせる必要があるだろ?」とキリクに毒を差し出していたダミヤ。
王獣の世話をするエリンを見つめるキリク。
真王がダミヤの求婚を受けた。
イアルとカイルはセィミヤの傍から外された。
今までのセ・ザンを排除してダミヤの息のかかった人間を新たなセ・ザンにした。
イアル、カイルに調査を依頼していた。大公領の闘蛇には全て印が付けられている裏づけが取れた。
背後関係をたどっていくと一人の人物にたどり着くと言うカイルの言葉に、ダミヤを思い描くイアル。
喪が明けたらセィミヤの晴れ姿が見れる。
あさってからセィミヤはみそぎの森に行く。
ツルベニノバラの砂糖菓子をダミヤに差し出すキリク。お茶に浮かべると甘みもちょうどいいらしい。砂糖菓子を入れずにお茶を飲むダミヤ。
エリンが命令を受け入れたかダミヤに聞くキリク。受け入れたことを聞いて、たった一頭の王獣に大公が屈するか疑問を投げかけるキリク。シュナンが兵を引いた後、セィミヤと結婚して密かに王獣軍を作り上げる算段のダミヤ。
ダミヤ、周りで動きを嗅ぎまわっている者がいることに気づいている。
モットンさん。<キリクが殺した人。
キリク、ダミヤの命令で仮面をかぶる。
イアル、ダミヤに呼ばれる。
イアル、セィミヤが求婚を受け入れてくれたお祝いだからと、ダミヤに沿岸地方の7年ものの酒を勧められる。お酒に口をつけるイアル。
ダミヤ「私は自分一人のためにこの結婚を望んだわけではないよ。セィミヤと私が結ばれることで、この国を守る神の一族がより強い力を持ってまとまるのだ。神たる真王が清らかなまま国を治め、大公は我が身を犠牲にして戦と穢れを引き受ける。だからこそこの国は300年もの間栄えてこられたのだ。この国のあり方を守るためには、今ある歪みは全て正されねばならない。」イアル「そのためにエリンを利用するのですか?」
ダミヤ「アクン・メ・チャイといったか…。あれは奇妙な娘だ。この世でただ一人王獣を操れる力を持っているというのに、その力を見せることを拒むのだ。そなたに聞きたかったのは、先の真王ハルミヤ様のことだ。あの娘はハルミヤ様に何を話したのだ?」
イアル「私から申し上げることは何もございません。必要とあらば、エリンが自分から話すはずです。」ダミヤ「私はそなたに聞いているのだ。」イアル「話せば、王獣を使わないというご判断をなされますか?」ダミヤ「それはない。これはすでに決まったことだ。」イアル「ならば、私の意見などに何の意味がありましょうか。ここで何を申し上げても、あなた様はご自分の信じる道を行かれるのでしょう。」ダミヤ「そうだな。その通りだよ。神速のイアル。しかし、自慢の鋭い目で何もかも見通したつもりになっているようだが、所詮そなたは一枚の盾に過ぎん。そなたは知っているか?真に世界を動かせるのは私のような特別に選ばれた者だけだということを。そして、真に力があるものは決して表に出ぬものということを。」
イアル、手が震える。
ダミヤ「誰も気づくことはなく、だが全ては私の意のままに動かされているだけなのだ。」「セィミヤも、大公の息子シュナンでさえ、私にとってはありがたい道具なのだよ。そして今は亡きおば上も。」
イアル「やはりハルミヤ様の襲撃はあなたの仕業であったか。」
顔に汗を浮かべているダミヤ。
ダミヤ「真に世界を動かしているのは、私のような特別な者だと言っただろう。フフフ。しかし、全ては闇の中。そして、もうすぐ新たな時代がやってくる。真実を知る古い道具は全て片付ける頃合だ。口の利ける盾が余計なことを持ち主に告げる前に…な。」イアル「まさか…、カイルたちを…。」
仮面の男達の襲撃を受けているカイル。
ダミヤ、キリクを呼んで薬を受けとって飲む。
ダミヤ「さすがはセ・ザン。なかなか効く様子がないのにはだいぶ肝が冷えたぞ。」キリク「彼らは訓練を受けていますから。あれ以上毒を強めますと、例え解毒薬を用いても、ダミヤ様の方が手遅れになります。」ダミヤ「後の始末を。」キリク「承知いたしました。」
カイルの元に急ぐイアル。
カイルを助けて、自分がひきつけるからと逃げるように言うイアル。
イアル、目がかすんできた。
生き残った仮面の男の割れた仮面のしたからキリクが。キリクだと気づくイアル。
イアル「おまえは…カザルムの教導師。ダミヤの配下がカザルムにまで入り込んでいたとはな。エリンは身内の教導師に裏切られていたのか。」
動揺するキリク「ぼ…ぼくは…。」イアル「お前が彼女を巻き込んだのか?ただ懸命に王獣と生きることを願い、清らかに生きていただけの彼女を…。」
妹のターヤのことを思い出すキリク。
キリク「ぼくはただ、あの子がどこまでいくのか、見ていたかった。王獣と一緒に、どこまでも飛んでいく、あの子を見ていたかった。」
イアル「お前が彼女を飛べなくしたのだろう。ダミヤの用意した檻に追い込んで。」
剣を落とすキリク。
キリク「ターヤ…。」イアル「ターヤ?お前もダミヤに囲われた道具なのだな。」
モットンの言葉を思い出してダミヤの姿と重ねあわせるキリク。「ホロンなど、大公領民の道具に過ぎぬのだ。」
涙をうかべるキリク。
その場でひざまずいて泣くキリク。
その場を去るイアル。