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獣の奏者エリン

第44話 アクン・メ・チャイ

新しい真王、セィミヤ陛下のご命令により、エリンとリラン、アル、エクはカザルムを離れ、王都のラザル王獣保護場へと移ることになったのでした。

キリクもラザルへ移ることになった。キリク、エリンに、王宮がエリンに大きな期待を寄せているから、エリンがダミヤの命令を受け入れればある程度の自由は手に入ると言う。
キリク「人は無力だ。運命に身をゆだねて生きることは罪ではないよ。」
エリン、ポシェットの中に小刀を忍ばせている。災いが起こる前に責任を取るつもり。
アケ村。
ワダンが久々に出てきた。近く戦があるとの大公からの命令が。ハッソンが床に臥せっているので、ワダンが頭領気取り。
エリンと幼なじみだったチョクは闘蛇衆の一員になっている。
エリンの墓参りに来たサジュ。子供が。
エリンの墓は村の墓地から外れた木のたもとに。
サジュの娘「お母さん。村にちゃんとした墓地があるのに、なんでこんなところにお墓があるの?アクン・メ・チャイだから?」サジュ「その言葉、誰に聞いたの?」サジュの娘「ワダンさんが言ってた。」サジュ「アクン・メ・チャイ…。そんな言い方しないで。ここに眠っているのは、お母さんの幼なじみだったの。」サジュの娘「ふ〜ん。」
チョクとサジュで結婚してた。
エリン、ダミヤの前に通される。
部屋に鍵をかけるダミヤ。
ダミヤから、シュナンの一件のことを聞かされるエリン。
ダミヤ、エリンに王獣部隊を作ってもらいたいと言う。動揺するエリン。
サジュの娘「お母さん。エリンちゃんってどんな子だったの?」サジュ「勇気があって、物知りで、笑顔がとっても素敵な子だったわ。私、未だに信じられない。エリンちゃんが死んだなんて。」
ダミヤとオファロン王、輪郭が似てるな。
エリン「王獣部隊を作るのは無理です。」「王獣を操る技は私にしかできないのです。ダミヤ様は、アクン・メ・チャイという言葉をご存知ですか?」「ありえない交わりの中から生まれた子供、という意味です。私の母は霧の民、父は闘蛇衆です。ご存知の通り、この2つの民は普段の営みの中では決して交わりを持つことはありません。ですが、偶然の出会いから、私の父と母はひかれあい、結婚をして、私を生みました。もともと霧の民には特別な力があるといわれていますが、アクン・メ・チャイの私にも、特別な力が備わっているのです。」

霧の民にも、アクン・メ・チャイにも、特別な力など無いことは、エリンが一番良く知っていました。
けれど、王獣を戦の道具にしないために、人々が抱いている霧の民への誤解を、エリンは利用しようとしていたのです。

ラザル王獣保護場で、リランたちと王獣舎で一晩を明かすエリン。
ダミヤとオウリ、従者8名の前でアクン・メ・チャイの力を証明することに。
エリン「これから、私が王獣を操る技をお教えします。技が誰にでもできるのならば、私と同じ音を響かせれば、同じように王獣を操れるはずです。」
オウリ、ラザルでは最も王獣の扱いに長けている。
一番大きな王獣で試すことに。

一瞬、エリンの脳裏に、リランに襲われた時の恐怖がよみがえりました。
しかしエリンは、その恐怖を振り払い、竪琴を奏でました。

エリンの前にひざまずく王獣。

エリンは、自分と寸分たがわぬ音がでるまで、何度もオウリに竪琴のひき方を教えました。

エリン、音なし笛を構えてオウリの後ろに。
竪琴を奏でるオウリ。
王獣に襲われそうになるオウリ。音なし笛を吹くエリン。
エリン「これで、お分かりいただけたでしょうか。」ダミヤ「しかし、私は決して王獣部隊をあきらめたわけではないよ。たとえば王獣をそなたと同じ方法で育てれば、また違った結果が出るかもしれないからね。とはいえ、それを証明するためには何年もかかる。今、王獣を操れる者は、そなたしかいないというわけだ。そなたには、是が非でも王獣の背に乗り、タハイ・アゼで奇跡を起こしてもらう。」エリン「しかし、私がリランを飛ばして真王をお守りしたら、それで奇跡が起きたと思うほど大公様はおろかでしょうか?この国の病根はたった一回の奇跡などで消え去るようなものではありません。」
ダミヤ「賢い娘だ。だがな、たった一回でよいのだよ。」「大公の息子は、セィミヤの前で明言してしまっている。王祖ジェの伝説のように、真王を聖なる獣が守り、闘蛇が服従するような奇跡が起こるならば、真王を神と認め、完全な服従を誓うと。シュナンは生真面目な男。よもや誓いを破ることはあるまい。」
エリン「それでもお受けしないと言ったら?」ダミヤ「そなたを生きながらにしてヒカラに落としてやろう。それに、カザルム学舎はすでに我が手の中にあるのだよ。」
ダミヤ、カザルムを人質に取っていた。
エリン「エサル先生を、生徒達をどうしようというのですか!」ダミヤ「そなたの返事次第だ。」エリン「汚い。なんて汚い人なの。」ダミヤ「汚れ役こそ我が使命。足らぬなら、そなたの親友と言う娘を捕らえてもよい。確かユーヤンとか言ったな。彼女らが処刑されるのを、そなたはどんな顔で見るのかな?この度は真王への目通りは許さぬ。そなたをかばってくれる者は誰もおらぬ。よく考えてみたまえ。そなたが奇跡を起こすことは、恩師や友人達を救うだけでなく、そなた自身を救うことにもなるのだ。わからぬか?闘蛇乗りである大公がこの国の王になったら、王獣を操る技は封印されるのだぞ。」「アクン・メ・チャイであるそなたも、闇に葬り去られるであろう。そなたや王獣達が平穏に暮らすためには、真王がこの国の王であり続けることが大切なのだ。」

エリンはこの時、ダミヤの言葉から、全く別の可能性に気づきました。
闘蛇乗りが王になれば、王獣が戦いの道具に使われることはなくなるかもしれないと。
それが、リラン達を救えるかもしれない、一筋の光の道に思えたのでした。