獣の奏者エリン

視聴五日遅れ。

第38話 真王ハルミヤ

王都からカザルムに行くのに、行きは上り坂だが、帰りはカザルム公の館で宿を取ってカザルム川を下ったほうがよいのではと相談するダミヤ。

リラン出産の知らせを受けた王宮では、真王自らカザルムに出向き、リランの子供を視察することになったのです。

カザルム王獣保護場へと向かう真王の姿を一目見ようと、街道沿いには大勢の人たちが集まっていました。
その様子を、真王は少女のようなまなざしで見つめていました。

真王陛下が初めて王宮の外へお出かけになる大事であるにも関わらず大公たちに一言の相談も無かった。
エリンが陛下の目に留まることがないよう教導師たちに言うエサル。エリンは何があっても出てこないように言われる。
真王ご来訪のために特別に服まであつらえられる。
イアルが警備隊長。
カイルと一緒にカザルム王獣保護場内を散策するイアル。
カザルムに関わりのある人の人相書きまで作っていた。
キリク、警備隊長の案内を任された。せっかくの申し出だが自分の目で確かめたいと断るイアル。
イアル、エリンを見かける。エリンもイアルに気づく。

♪ようこそ ようこそ カザルムへ
 ぼくらの きよき 真王へいか
 王獣たちも つばさを広げ
 真王へいかを むかえます
 ぼくらは 手を取り わになって
 光のへいかを むかえます
♪ようこそ ようこそ カザルムへ
 ぼくらの きよき 真王へいか
 ぼくらは 手を取り わになって
 光のへいかを むかえます

↑最後の方だけやけにリズミカルだな。
真王に花の入った花瓶を渡すシロン。
真王にあいさつするエサル。
さっそく王獣のところに案内するように言う真王。とても楽しみにしていたらしい。
リランとエクとアルを紹介するエサル。
少し遠いのでもう少し近くに寄りたいという真王。
これ以上近づくのは危険というエサル。
ダミヤの少しくらいよいではないかという声に押されて了承するエサル。
エリン、心配でついてくる。
警戒するリランたち。
駆け出すエリン。
さらに近づく真王。陛下にささげられた王獣が陛下を害するはずがないとさらに近づけさせようとするダミヤ。
真王に襲い掛かろうとするリラン。
音なし笛を吹こうとするみんなを止めるエリン。
竪琴を奏でるエリン。
竪琴でおとなしくなった王獣に動揺するダミヤ。
真王の付き人のオウリにエリンが王獣を落ち着かせていると説明するエサル。
真王に王獣が子育ての最中だからと下がるように言い、手を取ってリランたちから離れるエリン。
ダミヤ、エリンを見て「ふーん…。」と口元をにやりとさせる。
真王「王獣を竪琴で静めるというのは初めて見たけれど、保護場ではよくやっていることなの?」エリン「いえ…そうではございません。リランの場合は、幼い頃からあの娘の竪琴を聞いて育っていたもので、あの音を聞くと心が静まるのだと思います。」
真王「あの娘から直接話を聞きたいわ。」エサル「大変申し訳ございません。あの娘は風邪気味でございますので、真王陛下の御前に出ぬよう厳しく申し付けてございます。」真王「…そう。残念ね。」
席を外すダミヤ。キリクが案内を。
キリク、ダミヤになにやら伝える。
ダミヤ「驚いたな。まさか、音なし笛を使わずに王獣を操る娘がいるとは。」エリン「いえ…、私は…。」ダミヤ「解っていると思うが、王獣規範は、真王陛下の大切な王獣を飼うための規則。君の行っていることは、それに対する違反行為。大罪にも値しよう。」
帰る前にもう一度リラン親子を見たいという真王。
ダミヤ「王獣規範を守らぬ者がいる…。私はたいして気にとめないが、都には何かととやかく言うやからがいる。彼らがこの事実を知ったら何というだろう。フッ…。」
エリンの手を取って口説こうとするダミヤ。王獣たちを連れてラザルに移ってほしいという。
真王が割って入って事なきを得たエリン。
真王、ダミヤが魅力のある女性を見ると声をかけずにいられない癖があるのを見抜いている。
ダミヤの甘い言葉に惑わされないエリンの毅然とした態度が気に入ったという真王。
餌をほしがっているアル。
オウリ「ここでも音なし笛を使わないのか。」エサル「エリンは死に掛けていたリランにつきっきりで世話をし、死のふちから救い出したのです。だからあんなふうにエリンになついているのでしょう。」
餌をあげている様子を見る真王たち。
真王も、ラザルに来てくれたらうれしいという。
真王も実は音なし笛が嫌いだった。
笛を使わずに王獣を育てられるならぜひそうしてほしいと思っていた真王。
真王「きっとラザルの幼獣たちも、音なし笛を使わずに育てれば、たくさん子供を生むかもしれないわね。放牧場が王獣の子供達でいっぱいになったら素敵だと思わない?」

「音なし笛が嫌い」という真王陛下の言葉は実に意外なものでした。
音なし笛を使うよう王獣規範で定めたのは、真王の祖先の王祖ジェで、真王は王獣規範が作られた意図を知っているはずだからです。

エリン、カザルムが自分にとっての我が家であることと、アルがまだ幼いので長旅はさせたくない、とラザル行きを断る。アルが旅に耐えられるようになったらまた声をかけるという真王。

こうして真王一行はカザルム王獣保護場の視察を終え、宿となるカザルム公の館へと発ったのでした。

エサル「出てこないようにとあれほど注意したのに。」エリン「申し訳ございません。」エサル「けれど、あの時は私も、音なし笛がアルの負担になりはしないかとヒヤリとしたわ。」エリン「その音なし笛なんですが、なぜ真王陛下はお嫌いだとおっしゃったのでしょう。」エサル「わからない…。もしかしたら、陛下は王獣規範とは別のお考えがあるのかしら?それとも、全てわかっていらして、私達をお試しになったのかしら?」エリン「私には、わかっていらっしゃるようには見えませんでした。」エサル「私も同じ意見よ。」
エリン「陛下は、王獣規範に隠された真実をご存じないのでしょうか…。」

真王陛下の言葉に、エリンは、何か捕らえようのない不安を感じていました。
まるで、濃い霧に包まれたような感覚が、エリンの心に残ったのでした。