こんにちは アン 〜Before Green Gables

#27『あの丘の向こうに』

バートが亡くなった後、アンは、ハモンド家に引き取られることになりました。
赤ん坊の時から9年を過ごしたトーマス家に、アンはついにさよならを告げたのです。
ノアやロキンバー、ケイティ・モーリス。愛するもの全てと引き裂かれたアンは、悲しみに心をふさいだまま、ハモンド家にやってきました。

アンに「ずいぶんやせているようだけど、水汲みはできるの?」「この家では、毎日バケツに12杯の水をくまなきゃならないの。料理と皿洗い、掃除の分、6人の子供達の体を拭いてやる分と、おむつを洗う分。シーツがおねしょで汚れた日は、もっと汲まなきゃならないの。あなたにできるの?」「返事もできないの?」と力のない声で話すハモンド夫人(シャーロット)。
アン「トーマスさんのうちでも、毎日5杯は汲んでいました。」
奥さんにハモンドさん「子供だから、給料をやらなくてもすむ。いい考えだと思わないかい?」<うわ、考えが汚い。
ハモンド夫人「あなたの思い付きがうまくいった試しなんかないわ。どうせ役に立たないことが分かって、週末には孤児院へ連れて行くことになるでしょうね。」
ハモンドに毎年赤ん坊が生まれているハモンド家を紹介される。「一番上はおてんばエラ。いつも叫び声をあげているのが、ガーティ。トミーとジミーは双子。」アン「双子?」ハモンド「双子を見るのは初めて?」アン「え、ええ。」ハモンド「なんと、その下も双子なんだ。ジョージとヒューゴ。(右)耳の後ろにほくろがあるほうが、ジョージだ。」
アン、ガーフィーにかばんを奪われる。おかしを探すエラとガーフィー。かばんを取り返すと、泣き出すエラとガーフィー。
夕べも熱を出したジミーの看病で一睡もしていないというハモンド夫人、夫に文句を言う。妻のことを見て見ぬふりをして手伝いもしてくれないようだ。
ジョージとヒューゴが泣き出したのを、つかれて胸が痛むからアンに任せると放り出して自室で休みに行くハモンド。
おむつの場所を聞きに来たアンに、場所を教えるハモンド夫人。どうせでていってもらうことになるだろうけど、ここにいる間はきっちり働いてもらうと言う。

小さな6人の子供達の世話は、想像を超える大変な仕事でした。
子供達が寝た後も、山のような片付けや、汚れ物が待っていました。
ようやく仕事が終わった時は、夜中近くになっていたのです。

ハモンド夫人「明日は、朝ごはんの前に水を12杯汲んでおいて。それから、ミス・ハガティを呼びに行ってもらうわ。」アン「ミス・ハガティ?」ハモンド夫人「お産婆さんよ。赤ん坊が生まれるのは来月だけれど、ひどく気分が悪いから、見てもらいたいのよ。あの丘の上に住んでいるから、行って来て頂戴。」
アン、ベッドがない部屋に通される。
階下から子供の泣き声が。ため息をつくハモンド夫人。
アン「ジョアンナおばさんの今夜の夕食はなんだったかしら?私は、トーマスさんのおうちに置いてもらえなかった。ハモンドさんのおうちも、私を置きたいと思ってくれてるわけじゃないの。私を大事にしてくれる人は、誰もいないのよ。でも、私は、どこの誰かも分からないみすぼらしい子なんかじゃない。バートおじさんは私を、家族だって言ってくれたわ。それに、私のお父さんとお母さんは先生で、私は小さな黄色いおうちで生まれたのよ。お父さんは背中に翼が生えていて、お母さんは本が大好きで、お母さんはバラのようなほっぺの私を抱いて、お父さんは言ったのよ。この子の名前は、アン・シャーリー。」
毛布に包まり泣くアン。
CM入りとCM明けのアイキャッチが、加藤真治さんのイラストに。
まだ月が出ていて太陽が出ていない。
ハモンド夫人のうめき声で目が覚めるアン。
ハモンド夫人がおなかを押さえてうめいている。「赤ちゃんが…」と言ってその場に倒れこんでしまった。
アン、ハモンドを起こそうと扉を叩くが、起きてくる気配がない。
ミス・ハガティのことを思い出して、ハモンド夫人に毛布をかけた後に、丘に向かうアン。
丘が分からないけど、登っているからきっとこっちと当たりをつけて登るアン。
建物が見えてきた。
起きていたハガティさん。
アンに産気づいたのがスミスの奥さんかハモンドの奥さんかと聞くハガティさん。ハモンドの奥さんだと聞いて1ヶ月も早いというハガティさん。
家に着いたハガティさんとアン。
危険な状態だというハガティさん。
ようやく起きてきたハモンドさん。
ハガティさんに手伝うように言われて、胸を押さえながら手伝うのを了承するハモンドさん。
ハガティさん、アンにも指示。

ハモンド家に、新しい命が生まれようとしていました。
その騒ぎの中で、アンは、ノアのことを思い出していました。
アンの希望だった、ノアが生まれてきた日のことを。

生まれた。しかも双子。今度は男の子と女の子。
双子だと知って胸を押さえるハモンド。
ハガティさん「本当に危ないところだった。アンと言ったっけ?あの子が機転を利かせて私を呼びに来なかったらどうなっていたか。まだ夜が明ける前に、それも初めての道をよく一人で来たものだ。あの子があんなに勇敢でなかったら、シャーロットも赤ん坊も、今頃命があったかどうか。あの子に感謝するのね。」
ハモンド「なあ、母さん。子供が8人になって、母さんはもっと大変になった。アンをこの家に置こう。それともやっぱり、僕が連れてきた子はいやかい?」ハモンド「はぁ…。いいわ。その代わり、約束して。あの子が役に立たなかったら、すぐに孤児院へやってちょうだい。」ハモンド「ああ、母さんの言うとおりにしよう。」
アン、その現場を目撃。涙を流す。
家を飛び出すアン。
涙を流すアン。
泣いているアンに山彦が答えた。
アン「山彦さん、あなたもひとりぼっちなのね。あなたも、そばかすだらけで、やせっぽちで、誰にも大事にしてもらえなくて、あの薄紫の谷間に住んでいるのね。」「あなたはビオレッタ。きっと私の双子なんだわ。これからは、心に思うことは何でもあなたに話すわ。ハモンドさんの家で小さな幸せを見つけたら、きっと話しにくるわ。きっと。」

アンは、山彦にビオレッタという名前をつけました。
誰も知る人のない家で、新たに生きていくことになったアンにとって、山彦はたった一人の秘密の話し相手のように思えるのでした。