獣の奏者エリン

第34話 イアルとエリン

わが身を汚しながらも、闘蛇という武力でリョザ神王国を守り続けてきた勇猛な大公と、その闘蛇をも食らう輝ける獣、王獣を従えた、国民の心のよりどころである清らかなる真王。この二つの存在が、大公領民と真王領民との間にゆがんだ黒い渦を生み出し、一人の少女を巻き込もうとしていたのでした。

ラザル王獣保護場から怪我をした王獣が大きな荷車で運ばれてきた。
夜、王獣舎に忍び込んで、王獣に毒を盛るキリク。「大義のためとはいえ、君もいい迷惑だよね。」
翌朝、エサル先生に呼ばれて王獣を診るエリン。王獣の息から甘いにおいがすることに気づいた。
大公領の一部にしかない珍しい野草であるチチモドキのにおいだというエリン。
小さい頃に、チチモドキが混じった草もちを食べた人(サジュの姉のソジュ)のために、霧の市で霧の民(ナソン)から解毒薬をもらったことを覚えているエリン。
王都の薬問屋なら国中の薬草が集まる。そこなら解毒薬が手に入るかもしれない。
チチモドキの毒にやられたとするともって3日か2日。
真王とセィミヤのところにシュナンが。大公は一時心労が重なり病に伏せていたが今は落ちついている。
真王を見張っていたイアルのところにカイルが。イアルから引き継いだ卵泥棒の件が意外なところとつながってきたというカイル。闘蛇衆以外に卵狩りをしてはいけないはずの闘蛇の卵を真王領に流している連中がいる。真王領への仲介をしている商人の家から仮面姿の男が出て行くのを見た者がいる。
仮面姿の男が真王を矢で狙ったときに、仮面姿の男が桜の木の上の見えないところから射たことになっている。
セィミヤの毒見役のナミが倒れた。リョザの民よりセィミヤに贈られたお菓子を食べた。においでチチモドキだと判別するシュナン。
シュナンたちを疑ってはいるが、サイガムルなら大公を貶めるまねはしないと考えるイアル。サイガムルの仕業と見せかけた何者かの仕業か?
イアルが薬を探してくることに。
チチモドキの解毒薬が見つからないエリン。
セ・ザンが解毒薬を探しているのを見かけて邪魔されてはいけないと動く仮面の男。
町外れの店でチチモドキの解毒薬を買い占めようとする仮面の男と鉢合わせるイアル。戦闘に。
店で戦闘していたのに遭遇するエリンたち。
店の中でイアルに声をかけるエリンと、エリンたちのことを知らないふりをするイアル。
ツリガネアオイの根を探したいが、店の中がめちゃくちゃに。
解毒薬のにおいで2つにしぼりこんで、店主に確認してツリガネアオイの葉を探し当てたエリン。
イアル、エリンになぜ薬草が必要なのか聞く。王獣が毒あたりしたからと答えるエリンに、王獣を決して死なせるわけにはいかない、その毒は何者かによって飲まされたに違いない、薬も狙われているのでそのまま運ぶのは危険、というイアル。
仮面の男が、ヌックとモックが店を出るのを監視してた。
仮面の男、おとりの人形に矢を命中させて、ヌックとモックの馬車を止める。
カイルたちセ・ザンに囲まれる仮面の男。仮面の男、自ら服毒して自害。
エリンを馬車で送り届けるイアル。
エリン「なぜ、セ・ザンのあなたがついてきてくださるんですか?」イアル「王獣は真王陛下の象徴。その王獣が毒殺されたと世間が知れば、さまざまな憶測が飛び交い、真王陛下の権威を落とすことにつながる…。」エリン「そんなことのために王獣に毒を…。」イアル「あなたにとってはそんなことかもしれないが、この国にとっては一大事なのだ。そして、われらセ・ザンは、真王陛下をお守りするためにいるのだ。」
先にある橋が落ちて、馬車で渡るのが無理に。人がわたるだけならつり橋がある。
エリンと一緒につり橋を渡るイアル。
エリン、鳥が巣に戻れないのを見つける。それによって、待ち伏せがいることに気づいたイアル。ろうそくの火を消す。
間一髪で仮面の男を射殺すイアル。
イアル「エリン。もう大丈夫だ。カザルムへ急ぐぞ。」と、エリンの名前を覚えていたイアル。
エリン「名前…、覚えててくれたんですね。」イアル「セ・ザンと関わりがあると知られれば、あなたが狙われる。だから見知らぬふりをしたのだ。申し訳なかった…。」
カザルムについたエリンとイアル。王獣はエサル先生たちが毒を吸いだしてくれたおかげで何とかもっている。
キリクと目が合うイアル。キリクに見覚えがあるイアル。
ナミ、なんとか助かった。
王獣も持ち直した。

エリンとイアル。
二人の働きで、カザルムと王宮で起きた毒騒動は治まりました。
しかし、この国をむしばむ毒は、静かに広がり始めているのでした。