獣の奏者エリン

視聴三日遅れ。

第32話 大罪

突然のがけ崩れに驚いたリランは、エリンを乗せて、広い空を飛んだのです。

上空から、誰かが合図をしているのに気づくエリン。
降りると、そこにはナソンが。
リランを、音なし笛を使って気絶させるナソン。「その王獣、半トは動けまい。」
エリン、ナソンのことを、霧の民の巡回者の人と覚えていた。ナソン、少し顔にしわがついた。
エリンとリランを遠くから監視してきたというナソン。
エリンのことをソヨンの若い頃によく似ているというナソン。
操者のわざ=獣を人が操るわざ
霧の民は初め、ソヨンがエリンに王獣を操る技を教えていたのではないかと思った。
エリンが王獣保護場で行っているものは霧の民が伝えてきた操者のわざではなかった。
ナソンたちは、この世に二度と再び操者のわざを生み出し使う者が現れないよう見張るためその技を教えられる。だが、エリンは自分一人で新たな操者のわざを編み出してしまった。それは霧の民がもっとも恐れていたことだった。
雪の積もった地面に大罪と書くナソン。
闘蛇と話をすることも、王獣と話をすることも大罪だというナソン。
その理由を語るというナソン。エリンが理解しなければ、災いを断つためにエリンとリランを殺すかもしれないことを示唆するナソン。
ナソン「太古の昔、アフォン・ノアの彼方に、オファロンという豊かな王国が栄えていた。しかし、その豊かさにひかれ、近隣の国が攻め入ってきた。そこである家臣が、オファロンの王に、緑の目の民に力を借りてはと持ちかけた。」「彼らは、闘蛇を意のままに操る技を持っていた。オファロン王は、その力に、国の存亡を託したのだ。戦は圧倒的なオファロン軍の勝利だった。わずか数十の闘蛇が、千騎もの騎馬隊を食い破り、瞬く間に敵の大将を討ち取ったのだという。しかし、それが悲劇の始まりだった。」「大勝利に酔いしれたのか、オファロンの王は、次々と辺りの国を侵略していった。そして、それを憂い異を唱えるものには、容赦ない罰を下した。だが、それを見かねた例の家臣と緑の目の民が反乱を起こし、王は国を追われ、わずかな友と、アフォン・ノアの険しい谷へと逃げ込んだ。」
オファロン王、闘蛇に襲われかけたところを、王獣と、金色の瞳を持つジェに助けられる。
ジェたちは、生まれたときから王獣と育つので、自然と王獣たちが何を伝えたいか判るようになる。
司祭様と呼ばれているジェ。
質素な暮らしをしているジェの一族。王獣を使って森で木の実を集めたり、狩りをしている。
愛する民の心が夢で光り輝く王国としたかったというオファロン王。
富と領地と民が増え豊かさが増せばやがて自分の思いもわかってもらえると思っていたオファロン王。
夢は裏切りによって踏みにじられ今の自分に残されたものは憎しみだけだというオファロン王。
オファロン王になぐさめの言葉をかけるジェ。
王獣を数多く育てて、闘蛇を食らう力を見せつけ、ジェが王座につくよう進言するオファロン王。自分の夢は民を幸せにすることだったが、今自分が望むのは自分を迎えてくれたジェたちの幸せだというオファロン王。
長老に反対されるジェ。
みんなを説得するジェ。
ナソン「彼らは10年かけて、王獣を2000頭にまで増やしていった。」
王獣を操ってオファロンに現れるジェとオファロン王たち。
オファロン王の姿を確認して、前王が復讐に来たと闘蛇軍を出すオファロン。
王獣の鳴き声で次々倒れる闘蛇たち。逃げ出すオファロン軍。
王獣たちや闘蛇たちの様子が変に。
街が火の海に。
オファロン王も闘蛇との戦いで命を落とす。
ナソン「王獣と闘蛇は血に狂い、もはや、人の手では止めることはできず、全てが滅びるまで殺戮は続いた。こうして、アフォン・ノアの彼方に栄えた世界は滅び、二度と国は興らず、呪われた地と言われるようになった。緑の目の民は、この滅亡のきっかけを作ってしまった、獣を操る技を封じ、二度と悲劇を起こさぬよう、厳しい掟を守りながら、放浪を続ける民となったのだ。」
エリン「それじゃ、王獣を操った一族は?」ナソン「あの娘が、再び故郷へ戻ることを、許さなかったそうだ。そして彼女は、アフォン・ノアを越え、この地へと舞い降りた。彼女の名前はジェ。この国、リョザ神王国の最初の真王だ。」
ナソン「ソヨンの娘よ、どうか君が育てた王獣を、二度と飛ばすことなく、他の王獣と同じよう、掟を守り育ててくれ。」「闘蛇を人の手で増やすことがないよう、繁殖期を迎えた闘蛇をあえて死なせて掟を守り、操者のわざを大罪と呼んだ、ソヨンの思いを受け継いでほしいのだ。」
ソヨンが掟を守るために牙を死なせたのか、操者のわざを使ったその時も本当に大罪だと感じていたのか、疑問に思ったエリン。
いつのまにか去っていたナソン。
リラン、回復した。
エリン、リランに空を飛ぶことを止めたりしない、掟なんかでしばったりしないと約束する。

エリンは、冷たい雪の中で、リランのぬくもりを感じながら思うのでした。
この温かい王獣が、あるべき姿で生きられる道を、なんとかして探してあげたいと。