獣の奏者エリン

第11話 とびらの中に

この国は、山向こうの領地を治める、闘蛇の軍を持つ大公に守られていました。

シュナン、ヌガンを呼ぶ。大公領から真王陛下にお届けする贈り物の中に毒草のチチモドキが入っていた。贈り物の中に毒を混ぜたという脅迫状が届けられ、調べたら出てきた。
誰がやったか分からないというシュナンに対して、ヌガンの口から出た言葉は「サイガムル」。めったなことでは口に出してはいけない名前らしい。
サイガムルの連中は、真王に反旗を翻し度々事を起こしている。闘蛇の卵を狙っているという知らせもある。
シュナン「既に、この国には毒が回り始めているのかもしれない。」

大公領から離れた王都の東の端にある山の麓には、ハチ飼いのジョウンが住んでいました。
ジョウンの元で暮らし始めたエリンは、引越しの支度をしていました。

掃除しているエリンに、奥の部屋は掃除しなくていいというジョウン。お化けが出ると言って入らせないようにするも、逆にお化けを見てみたいとエリンに言われて弱るジョウン。
ナツシラセの花が咲き始めているのでもうすぐ夏になる。
ナツシラセの花はこのあたりにしか咲かないとジョウンは言うが、どこかで見覚えがありそうなエリン。
ハチ飼いは、ナツシラセの花を目安に山へと移動する。
ナツシラセの蜜が甘いか確かめようとするエリンに、ジョウン「おっ!お前、唐突に恐ろしいことするなぁ。」と止めに入る。
ナツシラセを舐めたら腹痛で三日は苦しむ。
ナツシラセの蜜はそのまま舐めれば毒になるが、ちょっと手を加えてやると薬になる。毒にも薬にもなる、そんな花。
モックとヌック、いいことしてお礼にもらったお菓子をエリンと一緒に食べようとジョウンのところへ。
エリンが掃除中に、ジョウン、お化けの部屋へ入る。覗き見るエリン。ジョウンのお尻しか見えなかった上に、オナラを喰らって悶絶するエリンw
ジョウン、近所に住む師匠に引越しの挨拶をしに行くため、エリンに留守番を頼む。部屋に絶対入るなと言い残す。
やっぱり奥の部屋が気になるエリン。
勇気を出してドアを開けると、書斎だった。<というか、エリン言いつけ守らない子だな。
ソヨンが持っていたのと同じ本が本棚に。
師匠(ドラン)を訪ねたジョウン。
師匠から教えてもらったハチミツで作った酒。
師匠に、もうお前に教えることは何もないと言われるジョウン。
ジョウン、師匠にエリンのことを相談しに来た。エリンのことを「俺が1つ教えたことを10の質問で返してくるような頭のいい子です。」と評するジョウン。
ジョウン、エリンのことで迷っている。
本の中にナツシラセを見つけるエリン。ソヨンからナツシラセのことをちらっと聞いていた。
「た り の き… や に す」>「日当たりの良き丘陵地や山野に自生す。」をエリンが読めない字を飛ばして読んでいた。
ソヨン「文字には、一つの線ごとに意味があるの。」
山は「凡」のような字。
山、花、ヤギゴロシは読めるエリン。
ヌックとモックが来た。
モック「開けっ放しで、不用心なんだもん!」ヌック「勝手に入ってくるやつがいたらどうすんだ。なあ。」モック「もんもん!」<お前らが勝手に入るなw
ドラン「その娘、そんなに覚えが早いのか?」ジョウン「苔に雨粒がしみこむように、俺が言ったことをどんどん吸い込んでいって…。」「解ったときの、あの目の輝きったら…。」
ドラン「トーサナ・ジョウンの血が騒ぎ始めたようじゃな。」ジョウン「『トーサナ』は捨てた名前です。」ドラン「そうだったな。」<何かいわくありそう
ドラン「だがなぁ、ジョウンよ。そうやって昔のことをいつまで引きずっているつもりだ?いくら才がある娘でも、教えを導いてくれる人がいなきゃ、それを伸ばすことはできんぞ。わしがハチ飼いのことを教えたように、お前はその子を導いてやれ。」
モックとヌックが声をかけても集中して気づかないエリン。

エリンは、ヌックとモックが来たことにも気づかず、本を読んでいました。
お母さんに教えてもらったことを思い出しながら、エリンは、毒の本を夢中になって読んでいました。

ヌックとモック、お菓子を食ったら腹痛に。腐ってた。
ナツシラセが腹痛に効くらしいことまでは解ったが、本に読めない文字があり読めないエリン。
本を持って困っているエリンの後ろにジョウンが。
ジョウンが作った苦くてまずいナツシラセから作った汁を飲まされるヌックとモック。
ジョウン「よく、これが毒の本だと解ったな。お前は、学舎に通っていたことがあるのか?」エリン「いえ…。文字は、お母さんに教えてもらいました。」ジョウン「これは、高級職能者階層の少年が16歳で学ぶ書物だ。」エリン「あ…、でも、よく解らなくって…。解るところだけ少しずつ読んでいって、それで…。」ジョウン「それを聞いて安心した。」エリン「え?」ジョウン「お前の歳でこの本を全て理解されたら、学舎で教えている教導師長たちは、全員ひっくり返っちまうだろうからさ。ハハハハハハ。」
「動物百態」という本の書名が読めなかったエリン。動物のいろいろなことを書いた本。
エリンに、ここにある本を読めるようになりたいか聴くジョウン。もっと勉強して母親みたいになりたいというエリン。
仕事の合間にジョウンから教えてもらえることに。
部屋に入ったことはお咎めなし。
働いてくれたら飯を食わせるから夏の山についてきてもいいとジョウンに言われるヌックとモック。よかったね。

ジョウンは、エリンに、自分の知っていることを教える決心をしました。
そして、夏の山での暮らしが、賑やかになるだろうということを感じていました。